北海道苫小牧市のノーザンホースパークに建つティンバーライクの厩舎と売店
ティンバーライク施工事例|北海道苫小牧市

馬と自然の風景に溶け込む
厩舎と売店

ティンバーライク 厩舎&売店 in 北海道苫小牧市

無垢材とハーフティンバーの意匠で、パーク全体の世界観を形にした2棟

北海道苫小牧市美沢に広がるノーザンホースパークは、馬とのふれあいと北海道の自然を一年を通して楽しめる体験型テーマパークです。広い園内には、引退した競走馬やポニーをはじめとする多様な馬たちが暮らし、乗馬や観光馬車、ショー、自然の中でのアクティビティなどを通して、馬をより身近に感じる時間が用意されています。

その園内に建てられたのが、今回ご紹介する売店と厩舎です。売店は2008年、厩舎は2013年に完成しました。いずれも本格的なティンバーフレームではなく、日本の在来軸組工法を基本に、太い無垢材や化粧木部を効果的に取り入れた建物です。ハースストーンホームでは、このようにポスト&ビームやティンバーフレームを思わせる木の表情を在来工法でつくる製品を「ティンバーライク」と呼んでいます。

来園者を迎える売店と、馬たちの暮らしを支える厩舎。用途も完成時期も異なる2棟ですが、急勾配の屋根、明るい壁、濃色の木部という共通のデザインによって、園内に統一感のあるヨーロッパの牧場風景をつくり出しています。

無垢材の柱と梁を現しにしたノーザンホースパークの厩舎内部
木の架構が連続するノーザンホースパークの厩舎
緑豊かな北海道苫小牧市美沢のノーザンホースパーク園内風景

馬と自然の体験型テーマパーク「ノーザンホースパーク」

ノーザンホースパークは1989年に開業し、約48ヘクタールの敷地に乗馬施設、レストラン、庭園、各種アクティビティを備えるテーマパークとして歩んできました。新千歳空港から車で約15分という立地にありながら、園内には北海道らしい緑と開放感が広がっています。

母体となるノーザンファームは、日本を代表する競走馬の生産・育成牧場です。パークでは馬とのふれあいを楽しむだけでなく、馬の生態や気持ちを学び、引退競走馬のセカンドキャリアを身近に知ることもできます。

施設を訪れる人にとって、建物もまた体験を形づくる大切な風景の一部です。売店と厩舎は、馬を中心としたパークの物語に自然に溶け込みながら、長く親しまれる景観を支えています。

在来工法に、無垢材の存在感を加える「ティンバーライク」

ティンバーライクは、太い柱や梁だけで建物全体を構成する本格的なティンバーフレームとは異なります。構造は日本で一般的な在来軸組工法を基本としながら、見える場所に大断面の無垢材や化粧梁、筋交い状の木部を配置し、ポスト&ビームやハーフティンバーの重厚な表情をつくります。

必要な場所に木の存在感を集中させられるため、用途や予算に合わせながら、店舗、宿泊施設、厩舎、倉庫などにも特徴的な木造デザインを取り入れやすいことが特長です。今回の2棟では、実用的な施設でありながら、来園者の記憶に残る外観と、木の温もりを感じる内部空間を両立させました。

ティンバーライク造りの厩舎|2013年完成

馬たちの暮らしを支えながら、来園者をヨーロッパの牧場風景へ導く建物

最初にご紹介するのは、2013年に完成したノーザンホースパークの厩舎です。長い建物の中央に通路を通し、その両側に馬房を配置する、厩舎として分かりやすく機能的な構成となっています。

外観は、明るい壁面を濃いブラウンの化粧木部で区切ったハーフティンバー調。長く水平に延びる建物に、切妻の入口や急勾配の屋根を組み合わせることで、単調になりやすい大規模な厩舎にリズムと親しみやすさを与えています。

芝生と木立に囲まれたノーザンホースパークのハーフティンバー調厩舎
園内の景観に溶け込む、長い厩舎棟
急勾配屋根とハーフティンバーの意匠を持つノーザンホースパークの厩舎

長い建物に表情を与えるハーフティンバーの意匠

厩舎の外壁は、クリーム色の壁と濃色の化粧木部を組み合わせ、縦・横・斜めの線によって立面を細かく分節しています。木部の陰影が建物の長さを和らげ、見る位置によって異なるリズムを生み出します。

低い位置には落ち着いた色合いの基壇を設け、地面に近い部分を視覚的に安定させました。芝生や大きな樹木、季節の花々を背景に、建物が新しく目立つのではなく、長くそこにあった牧場建築のような佇まいを目指しています。

大きな両開き扉を備えたノーザンホースパークの厩舎正面

馬と人が行き交う、大きな切妻の入口

建物の要所には、大きな両開き扉を備えた切妻の入口を設けています。馬の移動や日々の作業に必要な幅と高さを確保しながら、妻面いっぱいに組まれた化粧木部が、厩舎の正面性を強く印象づけます。

入口の上部には窓を設け、暗くなりやすい中央通路の奥まで自然光を導きます。実用上必要な大開口を、そのまま建物を象徴するデザインとして見せた構成です。

馬房が両側に並ぶノーザンホースパーク厩舎の中央通路

馬房を見渡せる、明るく伸びやかな中央通路

厩舎内部では、中央通路の両側に馬房が整然と並びます。入口から奥まで視線が抜けるため、建物全体の状況を確認しやすく、馬の移動や給餌、清掃といった日常の作業も行いやすい構成です。

通路の上には木のトラスや梁が一定の間隔で連続し、長い空間に明快なリズムをつくっています。屋根面に設けた天窓から自然光が入り、木部の陰影と通路の奥行きを穏やかに浮かび上がらせます。

機能を優先する厩舎でありながら、木の架構を隠さずに見せることで、馬に会いに訪れた人にも、温かく印象的な室内風景を届けています。

無垢材の柱と斜材が馬房の上に連続するノーザンホースパークの厩舎内部

無垢材の柱・梁がつくる安心感と、厩舎らしい秩序

馬房の上部には、太い柱、梁、斜材を組み合わせた木の骨格が現れています。実際の構造形式は在来軸組工法ですが、見える部分に無垢材を効果的に用いることで、ポスト&ビームに近い力強い印象を生み出しました。

同じ架構が一定の間隔で繰り返されることで、長い厩舎に分かりやすい秩序が生まれます。木材の色と質感は、金属やコンクリートだけでは得られない柔らかさを室内にもたらし、馬が暮らす場所にふさわしい落ち着きをつくっています。

機能のために必要な構成を隠すのではなく、木の美しさとして見せる。ティンバーライクの考え方が、内部空間に端的に表れている部分です。

ティンバーライク造りの売店|2008年完成

来園者を迎える売店にも、園内の世界観を伝える建築を

次にご紹介するのは、厩舎に先立つ2008年に、来園者向けの売店として建てられた建物です。商品を並べ、人を迎える商業施設としての役割を持ちながら、外観は周囲の園内施設と調和するハーフティンバー調でまとめました。

クリーム色の塗り壁に濃いブラウンの化粧木部を重ね、急勾配の屋根と複数の天窓を組み合わせています。正面や妻面には縦・横・斜めの木部を配置し、小さな建物の中にも奥行きと変化のある表情をつくりました。

来園者が立ち寄る売店にも、園内の他の建物と共通する建築言語を用いることで、パークを歩いたときの風景が途切れません。建物単体の目立ち方ではなく、園内全体の印象と体験を考えてデザインした事例です。

植栽と石積みに囲まれたノーザンホースパークのティンバーライク売店
周囲の植栽と調和する、ハーフティンバー調の売店
急勾配屋根とハーフティンバーの外観を持つノーザンホースパークの売店

来園者を迎える売店に、パークらしい表情を

売店の外観で印象的なのは、建物を包む急勾配の屋根と、壁面を縁取る濃色の木部です。後に建てられた厩舎にも受け継がれるデザイン要素を、来園者が立ち寄る店舗の規模と用途に合わせて構成し、園内の施設群に共通する建築イメージを形づくりました。

壁面の木部は装飾として貼り付けるだけではなく、柱や梁の位置を思わせるように配置しています。そのため、実際は在来工法でありながら、木の骨格が外へ現れたヨーロッパのハーフティンバー建築に近い印象を与えます。

商品を販売する機能だけでなく、建物そのものが来園者の体験と記憶に残るよう丁寧な意匠を与えたことが、パーク全体の景観の質を支えています。

複数の天窓を備えたノーザンホースパーク売店の急勾配屋根

急勾配の屋根と天窓がつくる、軽やかなリズム

濃いグレーからブラウンの屋根には、複数の天窓を配置しています。長い屋根面に光の取り入れ口を設けることで、外観にリズムを与えるとともに、売店内部へ自然光を導き、来園者が過ごす空間に明るさをもたらします。

北海道の空を背景に大きく見える屋根は、建物の輪郭を明快にし、厩舎と共通する牧場建築らしいシルエットをつくっています。

大きなガラス面と濃色の化粧木部を組み合わせたノーザンホースパークの売店

ガラス越しに見える木部も、外観の一部に

建物の一部には大きなガラス面を設け、内部の木部や空間の高さ、店内の明るい雰囲気が外からも感じられる構成としました。明るい壁、濃色の木部、透明なガラスという異なる素材が重なり、売店に開放感と奥行きのある表情を与えています。

足元の石積みや階段、周囲の花壇と植栽も建物の印象を柔らかくし、来園者が立ち寄る売店を庭園風景の一部として見せています。

建物の用途を超えて、ノーザンホースパークの風景をつくる

2008年に来園者を迎える施設として完成した売店と、2013年に馬たちの暮らしを支える建物として完成した厩舎。役割も規模も異なる2棟ですが、無垢材の柱や梁、ハーフティンバーを思わせる外観、急勾配の屋根という共通の要素によって、訪れる人の記憶に残る建物となりました。

本格的なティンバーフレームだけが、木の力強さを表現する方法ではありません。在来軸組工法を基本に、必要な部分へ無垢材と木の意匠を取り入れるティンバーライクは、用途や規模に合わせながら、施設全体に一貫した世界観を与えることができます。

建物単体の美しさだけでなく、馬、緑、園路、庭園とともにひとつの風景を形づくる。ノーザンホースパークの売店と厩舎は、ティンバーライクが商業施設や体験施設にもたらす可能性を示す施工事例です。

ノーザンホースパーク厩舎データ

所在地
北海道苫小牧市美沢111-3
敷地面積
480,791.00㎡
延床面積
417.36㎡
施工期間
4か月
構法
立体トラス
使用ログ材
松(210×210mm)
基礎
布基礎
外部仕上げ
屋根材:メトロタイル(ガルバリウム鋼板+自然石粒)
建具:木製ドア
サッシ:アルミサッシ
外壁:ジョリパット
内部仕上げ
天井材:SPF材
間仕切壁:構造用合板
床材:舗装
塗料:キシラデコール。

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