ダブテイルログハウス
ダブテイルログハウスとは、角ログで造る丸太組構法のひとつで、ログが交差するノッチ部分に、ダブテイルジョイントと呼ばれる蟻ほぞの木工接合を施した、ログハウス本来の醍醐味が味わえる角ログハウスです。
ダブテイルログハウスの構造材には、熟練の職人による手斧加工が施された角ログ材が使用されるため、西部開拓時代に建てられたオールドログハウスのような「侘び寂び」を感じさせるウエスタン調の見た目となります。それ故、経年による従来の家のような容姿の劣化はなく、歳を重ねる度により深い味わいが出てくるため、エイジングを楽しめるのも特徴のひとつです。
ダブテイルで造る角ログハウスの最大の魅力は、丸太組構法の弱点である隙間や歪みの発生、内部空間を狭く感じさせる圧迫感が少ないことに加え、住宅としての居住性能が従来のログハウスより圧倒的に優れているところにあります。
ダブテイルログハウスの歴史
ダブテイルジョイントとは?(Dovetail Log)
ダブテイルジョイントとは、水平方向に積み上げられたログ材(ログ壁)が直角に交差するコーナー部分に、鳩の尾に似た形状のダブテイルノッチを採用した木工接合をいいます。(鳩=Dove、尾=tail)
ダブテイルジョイントの歴史は古く、古代エジプト文明以前(紀元前3100年前)から使用されてきた木材同士を接合する技術で、一度接合されると外すことが容易に出来ない程の強度があります。
ダブテイルログハウスの継承
ダブテイルログハウスを新大陸アメリカに伝えたのは、1638年に設立されたスウェーデンの植民地(ニュースウェーデン)に開拓民として移住したフィン人(フィンランド人)だと言われています。
その当時は、丸太の両サイドを削って2面だけを平らにしたものが多く、ログ材の間に粘土質の「泥」や「水に浸した木の苔」を埋めて造られていましたが、次第に上下も含めた4面を削った角ログとが主流となり、チンキングに馬の毛などを混ぜたモルタルが使われるようになったとされています。
丸太を積み上げた簡易的なログハウスも数多くありましたが、主に貧しい移民などの家として使われていたとされています。
ダブテイルログハウスの衰退と今
17世紀以降には、アメリカに移住したドイツ人やスコットランド系アイルランド人によって、ダブテイルログハウスがペンシルベニアなどに広められました。しかし、その後すぐに、町生活に適応した住みやすいティンバーフレームが普及したことで、次第に街並みからその姿を消していきました。
そして20世紀半ば、古くなっても健在で風格のあるダブテイルログハウスを修繕して住む人が増えたことで、現存するオールドログハウスの供給が需要に追いつかなくなり、新たに参入したログビルダーによって、新築の家屋が建てられるようになりました。
今日のダブテイルログハウスは、ドイツ、スカンジナビア、スコットランド系アイルランドの伝統的な要素が融合した家屋であり、これらの多くがアパラチア山脈周辺にて建てられたことから、「アパラチアンログキャビン」とも呼ばれています。
ダブテイルログハウスの特長
開拓時代を映し出す手斧による表面加工
最新の加工機により高精度にプレカットされた角ログ材を、熟練のログビルダーが、角材一本一本に魂を込めて削り上げていきます。
日本のチョウナと呼ばれる大工道具に似た手斧(アンティークアッズ)で仕上げ加工(ハンドヒューン表面加工)を施すことで、西部開拓時代に建てられた古いログハウスのような重厚でアンティークな仕上がりになります。
狂いの少ないスプライン工法材
ログ材の変形を吸収する独自のスプライン工法により、従来のログハウスに発生する隙間や歪みを大きく解消することで、メンテナンスにかかる時間と経費を大幅に削減し、快適生活に重要な気密性にも、大きく貢献しています。
歴史が証明した耐久性200年
アメリカのアパラチア山脈周辺には、150-200年前に建てられたダブテイルログハウスが数多く現存しており、 380年以上前に建てられたダブテイルログハウス住宅がアメリカ合衆国国家歴史登録財に登録されています。
そのログハウス(C. A. Nothnagle Log House)には、1918年まで人が実際に暮らしていたようで、現在も個人の不動産として修繕・維持されています。
従来のログハウスの弱点を克服
屋根や床はもちろん、ログ材の間にも高断熱材を使用することで、従来のログハウスに比べて気密性がより良くなり、一般住宅のような快適さを年中楽しめます。 また、施工地域の気候に適合した断熱材を採用することで、これまでログハウスの弱点だった断熱性・気密性を一段と向上させました。
ログ材のセトリング(乾燥による収縮)により隙間が最も生じやすいログ壁の隙間(グルーブ)には、元よりチンキング加工を施すため、隙間を未然に防ぐことができます。
自然に優しいサステナブルなログハウス住宅
森林は、地球上に住む全生物共有の財産です。耐久性200年以上あるログハウス住宅を建てることが、100年以上かかる森林の再生を可能とし、 家という財産を子孫に残すことにより、過剰な森林伐採を避け、自然を守るにことに繋がります。今も昔も、ゴミとなるものを極力使用しないエコロジーハウスです
用途多様な自由な設計が可能
ダブテイルログハウスは、間仕切壁を自由に配置する事が出来るため、一般住宅としてだけでなく、ホテル、コテージ、レストラン、ショップ、動物病院、 福祉施設、教会、学校など様々な用途に適しています。