洞爺湖の絶景を、
大切な人と分かち合うログハウス
ダブテイルログハウス - 小原山荘 in 北海道洞爺湖町
別荘として始まり、より多くのゲストを迎える山荘へ
北海道虻田郡洞爺湖町の財田(たからだ)は、洞爺湖の北側に広がる、湖と森、田園が身近にある地域です。なだらかな土地に田畑と家々が点在し、その先には青い湖面と中島、対岸の山並みが重なります。
この場所で目に入るのは、観光地として切り取られた洞爺湖だけではありません。春から夏の緑、実りの季節を迎えた田畑、農村の屋根、その向こうに広がる湖。自然と人の営みがひと続きになった、財田らしい穏やかな景色です。
その高台に建つ小原山荘は、1994年に別荘として完成しました。当初は現在のロフトとリビングルームを持たない、コンパクトな平屋のダブテイルログハウスでした。その後、この場所を訪れる家族や友人をもっとゆったり迎え、目の前に広がる洞爺湖の景色を一緒に楽しめるよう、ロフトとリビングルームを増築。別荘としての魅力を保ちながら、人が集い、滞在を分かち合える山荘へと育てられました。
田園の先に洞爺湖が広がる、財田ならではの眺め
小原山荘の周囲には、緩やかな斜面に沿って田畑と集落が広がり、その先に洞爺湖の湖面が伸びています。湖に浮かぶ緑の中島と対岸の山並みまで見渡せる景色は、この住まいを象徴する大きな魅力のひとつです。
近景には農村の暮らしがあり、遠景には湖と山がある。季節によって田畑の色や木々の表情が変わるたび、同じ窓から眺める風景にも新しい奥行きが生まれます。
この眺望は、後年の増築計画を形づくる大きな理由となりました。訪れたゲストにも、椅子に腰を下ろしながら洞爺湖と田園の広がりをゆっくり味わってもらいたい。その思いから、湖側へ新しいリビングルームが加えられています。
洞爺湖の景色を、より多くの人と楽しむための増築
竣工当初の小原山荘には、現在のロフトも、湖側へ張り出したリビングルームもありませんでした。別荘として必要な機能をコンパクトにまとめた平屋のログハウスに、ゲストのための就寝スペースと、洞爺湖を眺めながら皆でくつろげる居場所を追加。既存のダブテイルログ部分と、在来軸組工法による増築部分にそれぞれの役割を持たせながら、滞在する人数が増えても心地よく過ごせる一棟へとつなげています。
1994年から家の中心にある、キッチン・ダイニング
ダブテイルログの壁に囲まれたキッチン・ダイニングは、別荘として完成した当初から、この家の中心です。調理、食事、ロフトへの移動をひとつの空間にまとめ、家族やゲストが自然に顔を合わせ、食卓を囲める親密な構成としています。
ハンドヒューンの削り痕を残した角ログと、幅のある明るいチンキングが、室内に力強い水平線を描きます。30年以上を経て深みを増した木の色に、後から加えたロフト階段もなじみ、新旧の時間がひとつの風景として重なっています。
ログの力強さに、畳の落ち着きを重ねた和室
1階の和室は、北米由来のダブテイルログと、日本の畳の暮らしが自然に同居する一室です。低い座卓を囲めば目線が床に近づき、角ログに包まれた空間にも、どこか静かな和の落ち着きが生まれます。
普段はお茶や読書を楽しむ居間として、来客時には客間として使える柔軟な場所です。障子を思わせる建具と柔らかな自然光が、経年した木肌と畳を穏やかに照らします。
洞爺湖の眺めを皆で楽しむ、増築リビング
より多くのゲストを迎えるため、1階の湖側には在来軸組工法によるリビングルームを増築しました。大きな連続窓と掃き出し窓が、手前の木々や田園、その先に広がる洞爺湖の景色を室内へ引き込みます。
角ログを現しにした既存部分に対し、増築部は明るい壁と勾配天井で仕上げ、光と眺望が主役になる空間としました。木の梁や家具を介してダイニングとつながるため、工法の違いがありながらも、住まい全体には一体感があります。
朝の光、天候によって変わる湖の色、田畑を渡る季節の気配。ソファや椅子に腰を下ろし、会話を楽しみながら同じ景色を眺める時間は、この山荘を訪れる大きな楽しみのひとつです。増築されたリビングは、洞爺湖の絶景をゲストと分かち合うための特等席となりました。
ゲストの滞在を支える、ロフトの就寝空間
後年の改修では、勾配屋根の内側を活用してロフトを設けました。1階の床面積を大きく広げずに就寝スペースを増やすことで、家族や友人が訪れた際にも、それぞれが落ち着いて休める余裕を確保しています。太い梁や柱、屋根を支える構造材を隠さず見せることで、後から加えた空間にもログハウスらしい力強さを受け継ぎました。
梁と柱がつくる、立体的なロフト空間
ロフトでは、建物を支える梁や柱そのものが空間の輪郭をつくっています。木組みの重なりがベッドまわりと階段側を緩やかに分け、壁で細かく区切らなくても、それぞれに落ち着ける居場所が生まれました。
手すり越しには1階の光や気配が伝わり、上下階は完全には分断されません。既存のダイニングから見上げたときにも、新しく加わったロフトが家の一部として自然に感じられる構成です。
勾配天井の下で眠る、ロフトのツインルーム
ロフトの寝室には、勾配天井に沿って2台のベッドを配置しています。低く抑えられた軒側と、上へ伸びる棟側の高さの差が、屋根裏らしい包まれ感をつくります。
中央の柱と太い梁、木の天井に囲まれた室内は、構造そのものが装飾です。窓から入る緑の光と小さな照明が木肌を柔らかく照らし、静かに休める親密な寝室に仕上がっています。
ゲストも落ち着いて休める、1階の寝室
1階の寝室には2台のベッドを配置し、中央にナイトテーブルと照明をまとめています。ロフトとは別に独立した就寝場所を確保することで、滞在する人の人数や組み合わせに合わせて使い分けられる構成です。
大きな窓から入る自然光が、幅のあるチンキングと手仕事の跡を残したログ壁を照らします。必要なものを端正に整え、木の表情そのものを楽しめる落ち着いた寝室です。
30年以上の時間が深めた、ハンドヒューンログの表情
外壁には、アッズで削ったような凹凸を残すハンドヒューン仕上げの角ログを使用しています。明るいチンキングとの対比によって一本ごとのログが際立ち、壁全体にダブテイルログハウス特有の力強い水平のリズムが生まれました。
竣工から30年以上を経て、木部の色には落ち着きと深みが加わっています。新築時の均一な美しさではなく、手入れを重ねた時間が一本ごとの表情として残ることも、無垢のログでつくる住まいの魅力です。
洞爺湖の絶景を、集う人と分かち合う山荘
小原山荘は、1994年に別荘として始まり、その後、より多くの家族や友人を迎えるためにロフトとリビングを加えながら育てられたダブテイルログハウスです。
竣工時から残るログ壁、後から加わった木組みのロフト、田園と洞爺湖を望む明るいリビング。異なる時期につくられた空間が重なり、この家にしかない時間の層を形づくっています。自分たちだけで景色を楽しむのではなく、訪れる人にもその感動を味わってもらえるよう、必要な空間を少しずつ加えてきたこと。それこそが、小原山荘の歩みと魅力を最もよく表しています。
ログハウス住宅データ
- 所在地
- 北海道虻田郡洞爺湖町財田
- 竣工
- 1994年
- 敷地面積
- 168.59㎡
- 延床面積
- 1階:50.59㎡
ロフト・リビング増築部:資料未確認 - 施工期間
- 5か月
- 構法
- 丸太組構法(ダブテイルノッチ)
リビング増築部:在来軸組工法 - 使用ログ材
- ウエスタン・ヘムロック(152×304mm)
- 基礎
- 布基礎
- 外部仕上げ
- 屋根材:長尺カラー鉄板
建具:木製ドア・木製ペアガラス・サッシ
塗料:ライフライン - 内部仕上げ
- 天井材:SPF材
内壁材:Vクロス
床材:木製フロアー
塗料:ライフライン
※1階平面図の「リビング(増築)」とロフトは、1994年の竣工後に追加された部分です。増築時期および増築部分の床面積は、確認できる資料がないため掲載していません。