2025年08月26日

ログハウスを100年保つために – メンテナンスと海外の事例【後編】

前編ではログハウスの構造的特徴と耐用年数について触れましたが、後編ではログハウスを100年保つために欠かせないメンテナンスのポイントと、世界各地に現存する長寿命のログハウス事例を紹介します。

The Durability and Lifespan of Log Homes – EP2

ログハウスに必要なメンテナンスとは?

ログハウスは木という自然素材を活かした住まいだからこそ、「手入れ」が非常に重要になります。逆にいえば、適切なメンテナンスさえ行えば、100年先まで住み続けられるというのがログハウスの魅力です。

主なメンテナンスポイント

メンテナンス箇所頻度内容
外壁塗装3~5年ごと紫外線や雨から木を守るために、UVカットや防腐・防虫成分を含む塗料を再塗装
屋根5~10年ごと瓦や板金の浮き・破損の確認、雨漏り防止
基礎周辺年1回水はけ・排水状態の点検、シロアリ対策
コーキング5~10年ごと隙間の補修、気密性・断熱性の確保
室内ログ表面必要に応じて乾燥によるヒビの確認、木の保護オイルの塗布など

特に重要なのが外壁の塗装。日本は湿気の多い気候のため、塗膜が劣化すると木材に水分が浸透し、腐朽やカビ、シロアリのリスクが高まります。塗料は自然系オイルからウレタン系まで様々あり、ログ材との相性に応じて選ぶことが大切です。

海外に見るログハウスの長寿命事例

ログハウスが長寿命であることは、歴史的建築物からも明らかです。以下はその一例です。

ノルウェー:ボルグンドのスターヴ教会(12世紀)

ボルグンドのスターヴ教会(Borgund Stave Church)

ノルウェー西部にあるこの教会は、木造建築として800年以上現存しており、北欧建築の象徴とされています。高床式で湿気を避け、屋根のデザインや排水システムが非常に優れており、木の劣化を最小限に抑えています。

ロシア:キジ島の木造教会群(18世紀)

プレオブラジェンスカヤ教会(Tserkov’ Preobrazheniya Gospodnya)

湖に浮かぶキジ島にある「プレオブラジェンスカヤ教会」は、釘を一本も使わずに造られたログ構造の教会。冬の厳しい寒さの中でも耐え続け、現在も修復・保存されながら使われています。

アメリカ開拓時代のログハウス(18~19世紀)

ハートスクエアビレッジ(Hart Square Village)

米国では開拓時代に建てられたログハウスが、今も住宅や博物館として現役で活用されています。厳しい気候に対応するため、屋根の庇や通風の工夫が施されており、ログハウスの原点とも言える構造が長寿命の鍵となっています。

日本でログハウスを長持ちさせるための工夫

  • 通気構造を意識した設計(ベンチレーション)
  • 高基礎による湿気対策
  • 樹種選び(スギやヒノキは日本の風土に適応)
  • 軒の深い屋根で直射日光と雨を遮断

これらは、気候の厳しい地域でも実践されている設計思想であり、ログハウスの寿命を大きく伸ばすことに貢献しています。


まとめ:ログハウスは“住まい手の手間”が資産を育てる

ログハウスは、自然素材ゆえに手がかかります。しかし、その手間を惜しまなければ、家は世代を超えて住み継がれる「資産」となります。海外の実例のように、100年を超えてなお生き続けるログハウスは、手入れの大切さを物語っています。

自然と向き合い、暮らしを育てる。その先にあるのが、ログハウスの真の価値なのです。

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By ハースストーンホーム | 2025年08月26日

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