おとぎ話のような外観のヘイデン邸 in ブローイングロック ノースカロライナ州
米国ノースカロライナ州ブローイングロックに建てられたティンバーフレーム
The Hayden Home – Blowing Rock, NC

ノースカロライナ州のブルーリッジ山脈に位置する小さな町「ブローイングロック」は、風光明媚な景観と豊かな自然に恵まれた観光地で、標高約1,200メートルに位置しており、四季折々の美しい風景が楽しめる場所として知られています。特に、夕方と紅葉の季節には色とりどりの木々が山々を彩り、訪れる人々を魅了しています。

町の名前の由来となった「ブローイングロック(Blowing Rcok)」は、岩肌から強い突風が岩を吹き上げる現象から名付けられました。ここには、ハイキングやトレッキングコースが豊富にあり、ピスガ国有林やブルーリッジ・パークウェイへのアクセスも良く、自然愛好家やアウトドア派にとって理想的な場所とされています。又、美術館やギャラリー、レストラン、ショップが点在しており、アートと文化も楽しめる魅力的なエリアとしても知られています。
そんな豊かな自然に囲まれた山脈に建てられたこのティンバーフレームは、ホワイトパインを採用した2階建て・延床面積373㎡の建物となっており、山の傾斜地に造られました。外壁には、下部にパープルに塗装したホワイトパインのフェザーエッジサイディング、上部には地元産のポプラ樹皮のサイディングが使われています。
フロリダ在住の芸術家が辿り着いたのは、ホワイトパインの「ティンバーフレーム」
キャンディス・ヘイデン(Candice Hayden)さんが思い描いていた山小屋は、非常に伝統的なものでした。彼女は、当初太い丸太を使った、暖かくて薄暗い居心地の良い雰囲気を持ったログハウスを想像しており、それはまさに、彼女がかつてメイン州の森の奥深くに所有していた別荘を彷彿とさせるものでした。フロリダ州にて画家および彫刻家として活動していたキャンディスさんは、長年にわたり、ノースカロライナ州アッシュビルのアーティストが集まる隠れ家的な場所を頻繁に訪れていました。
その為、アッシュビル近郊を移住先として考えていました。


キャンディスさんは、ボーイフレンドのマイケル・キングズリー(Michael Kingsley)氏からピスガ国有林にあるリンヴィル峡谷への旅行を提案されるまで、ブルーリッジ・パークウェイ近くにある風情ある小さな町、ブローイングロックを訪れたことがありませんでした。しかし、初めてその町を訪れた際、彼女はすぐにその魅力に惹かれました。「その後、数か月のうちにキャビンを探すための旅に出かけるようになりました」と彼女は振り返ります。
キャンディスさんは、ブローイングロック近郊にキャビンを借り、そこを拠点に理想の住まいを探していましたが、なかなか満足のいく物件に巡り会えませんでした。しかし、ある日の午後、森の中をゆったりと散策していた際、まるで運命に導かれるかのように、家探しが新たな展開を迎えることになりました。キャビンからそれほど遠くない場所に、広さ10エーカーの広大な土地が販売されているのを見つけたのです。その土地は、ブルーリッジ山脈の木々に囲まれた山頂を西に望む、美しい景色が広がる場所でした。「この土地の素晴らしいところは、ブローイングロックからわずか5〜10分の距離にありながら、まるで秘境にいるかのような感覚を味わえることです」とキャンディスさんは話します。
キャンディスさんは迷うことなく、その土地を購入しました。そして、その数か月後に建設会社を見つけ、ログハウス建築の準備も整いました。しかし、再び運命の試練が訪れました。最初に契約した建設会社との話がまとまらず、契約が破談となってしまったのです。それでも、キャンディスさんは「振り返ってみると、あの出来事には感謝しています」と言います。
急いで新しい建設会社を探していたキャンディスさんは、ノースカロライナ州ブーンにある「マウンテン・コンストラクション」の広告を見つけ、オーナーのマーク・カークパトリックに連絡しました。マーク氏は、ハースストーンの代理店であり、25年以上の木造建築の経験を持つ専門家で、キャンディスさんの理想の家についてヒアリングを行い、ティンバーフレームの魅力を紹介しました。
「ティンバーフレームの家がどんなものか、全く知らなかったんです」と、キャンディスは打ち明けます。「でも、マーク氏が友人のために建てた家を見に行った時、初めてその素晴らしさを知りました。」
マーク氏は、近くのブラックマウンテンにある自分が設計し建てたティンバーフレームに、キャンディスさんとマイケル氏を連れて行きました。それはキャンディスさんの人生を変える事となりました。「その家を見た瞬間、『これがティンバーフレームなんだ』と思いました」と彼女は振り返ります。「連続して積み上げられた丸太のログ壁が無くても、大きな柱と梁からログ材の温もりを十分感じることが出来ます。また、壁には広いスペースがあるので自分の作品を飾って楽しめます。本当に素晴らしい組み合わせでした。」

キャンディスさんにとって、ティンバーフレームの家を建てることは、長年の夢を叶えることではなく、思いがけない発見をする旅となりました。彼女は、新たな驚きや喜びを感じながら一歩一歩進んでいきました。そして、家が完成した今もなお、彼女の発見の旅は続いています。鹿やクマ、野生の七面鳥が頻繁に姿を見せ、リビングの栗色の壁は、季節ごとの自然光によって美しく色合いを変えます。
キャンディスさんは、「朝目覚めて山々の景色を眺められるのは、本当に素晴らしいことです」と語りました。